日本赤十字社 姫路赤十字病院
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外科>疾患別診療「肝臓・胆嚢・膵疾患」

肝臓・胆嚢疾患

■肝臓

外科治療を必要とする疾患として、原発性肝細胞がん、転移性肝がん、肝内胆管がん等が挙げられますが、当科における対象疾患のほとんどは原発性肝細胞がんですので、ここでは原発性肝細胞がんについて述べます。

●原発性肝細胞がん(肝臓がん)

肝臓がんに対する治療は、肝切除、局所療法(ラジオ波焼灼療法、マイクロウエーブ凝固療法)、カテーテル治療(肝動脈塞栓術、肝動注化学療法)が、3本の柱と考えられています。治療法は、がんの進行度、大きさ、個数や肝機能の状況などを十分考慮した上で選択されます。

●肝切除

肝切除は、がんを含めて肝臓の一部を切りとる方法です。最大の利点は、「がんを治す」という効果が一番確実なことです。欠点は、他の治療法と比べ、体に与える影響が大きいことでしょう。 ただ、腫瘍の部位によっては腹腔鏡を利用した、腹腔鏡下肝切除が可能である場合があります。この場合は比較的小さな切開創で切除を行うことができます。現在までに11例の腹腔鏡下肝切除を行っています。

●局所療法

ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法は、特殊な針を体外から肝がんへ差し込み、通電することにより病巣を凝固・壊死に陥らせる治療法です。マイクロ波では直径1cm、ラジオ波では直径2〜3cm程度の範囲の組織を完全に熱凝固することができるため、比較的小さな肝細胞がんに対する安全かつ確実な、新しい治療法として期待されています。体に与える影響は非常に小さく、入院期間も1週間以内です。これらの治療は局所麻酔下で行う施設が多いのですが、当科では全身麻酔下に行うことにより、眠っている間に治療が完了します。

●肝動脈塞栓療法

この治療法は、足のつけね(大腿)から、カテーテルと呼ばれる細いチューブを挿入して行ないます。がんを栄養している血管(肝動脈)を特殊な物質により塞栓させ、がんを死滅させる治療法です。ただし、1回の治療で完全壊死がえられることは少なく、繰り返し治療を行ってがんを抑え込んでいく必要があります。塞栓物質、投与薬剤の工夫などによる治療成績の向上に努めています。当科では、この治療については、放射線科の専門医に依頼しています。

●肝動注化学療法

肝動脈内に抗がん剤を投与する方法です。全身投与と比べ、副作用を抑えながら、高濃度の抗がん剤を投与できる利点があります。ただ頻回の投与が必要とされますので、当科では、肝動脈内にカテーテルを留置した、リザーバー動注療法を行っています。リザーバーとは埋め込んだカテーテルに接続する器具ですが、これを皮下に留置することにより、皮膚を介して薬剤を直接肝動脈内に注入することができるのです。通院治療が可能で、皮下に器具が埋め込んであるので、お風呂にも入れます。


当科では、これらの治療を一括して扱っており、2007年12月まで肝切除534例、マイクロ波凝固療法167例、ラジオ波焼灼療法517例、肝動脈塞栓療法411例、肝動注化学療法57例を行いました。その他、管門胆管癌8例、転移性肝癌13例に対し、肝切除を行いました。

◆2005年12月までの治療成績(原発性肝細胞がん)
  1年生存率 3年生存率 5年生存率 7年生存率 10年生存率
肝がん全症例 87.5% 74.6% 62.8% 52.5% 46.6%

■胆嚢

●胆石症、胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋症

胆嚢疾患の中で手術を要する疾患のほとんどは胆石症です。また胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋症も切除の対象となることがあります。胆嚢摘出術が基本術式となりますが、現在この領域に関しては、腹腔鏡下手術が主流となっています。腹腔鏡下胆嚢摘出術とよび、当科では現在まで1,694例に対し同手術を行いました。昨年(2007年)は145例の腹腔鏡下胆嚢摘出術を行なっています。

●胆嚢がん

胆嚢がんの根治的治療法は手術です。しかし進行度により予後に大きな差があり、進行したものは“治す”ことが困難となってきます。手術方法は進行度に応じて異なります。胆嚢摘出術のみで治るものから、肝切除、胆管切除、さらには膵切除が必要なものまであります。当科では現在までに73例の切除術を行いました。

●胆管

胆管がん
胆管がんの治療は外科療法、放射線療法、化学療法がありますが、今のところ放射線療法や化学療法では治癒は望めません。根治的治療法は外科療法(切除)です。胆管は、肝門部胆管、上部胆管、中部胆管、下部胆管に分けられ、部位によって手術法が異なります。

肝門部〜上部胆管がん
非常に狭い範囲に、動脈、門脈、胆管が走行していますので、この部位の手術は困難とされ、高度の手技が必要とされます。扇のかなめのような位置にあるため、根治的手術のためには肝切除を必要とすることが多く、また胆道再建が必要となります。

中〜下部胆管がん
この部位の胆管がんは、膵頭部に位置するため、通常、膵頭十二指腸切除術(膵がんの項目を参照してください)が必要となります。

胆嚢・胆管がんの領域は、まだ標準的な診断・治療が確立しておらず、特に肝門部胆管がんは、ある施設では手術可能な場合が別の施設では手術の対象とならないとされることもめずらしくありません。外科的治療が唯一の根治的治療法ですので、胆管がんと診断されたら、手術の可能性について専門医に必ず相談するようにしてください。当科では、現在までに肝門部〜上部胆管がん:38例、中〜下部胆管がん: 37例の切除術を行いました。


■膵

●膵がん

膵がんの治療には外科療法、放射線療法、化学療法があり、腫瘍の進行程度と全身状態などを考慮して治療が行われます。外科療法(切除)が治療の柱となります。 手術法は腫瘍の部位によって異なります。膵頭部がんの場合は、膵頭十二指腸切除術といって膵臓の頭部から体部にかけて、十二指腸とともに切除します。膵尾部がんの場合には、尾側膵切除といって膵臓の体尾部を切除します。昨年は9例の切除術を行いました。

◆2001年〜2007年までの手術(切除)症例数
  2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
胆嚢がん 3 8 4 2 5 6 3

肝門部〜上部

胆管がん

3 2 1 5 2 3 4

中〜下部

胆管がん

1 2 3 1 10 3 1
膵がん 9 5 8 7 19 7 9
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