日本赤十字社 姫路赤十字病院
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産婦人科>疾患別診療

産婦人科 疾患別診療

1.子宮筋腫

子宮筋にできる平滑筋の良性腫瘍です。卵巣ホルモンの作用で増大すると考えられており、性周期を有する女性の30%に認められます。悪性である子宮肉腫との鑑別を要します。

1.分類

漿膜下筋腫(20〜30%)・・・子宮の外側に発育するもの。症状は起こりにくいです。

筋層内筋腫(60〜70%)・・・子宮の筋肉中にとどまっているもの。

粘膜下筋腫(10〜15%)・・・子宮の内腔に発育するもの。過多月経が起こりやすいです。

2.症状

筋腫の大きさ、数、発生部位により症状が異なります。大きくても筋腫のできる部位によっては無症状です。

過多月経、不正子宮出血、強い月経痛、下腹痛・腰痛、下腹部腫瘤感、不妊などです。

3.診断

大きい筋腫は内診で分かりますが、詳しくは画像検査(超音波検査、MRI検査)で診断します。

4.治療

年齢、症状、大きさ、妊娠希望の有無などにより、治療法を選択します。症状のない場合は経過観察することもあります。

 
【1】手術療法
a.子宮全摘術

子宮全体を取る方法です。

b.筋腫核出術

筋腫部分のみを取り、子宮は残す方法です。

 
【2】ホルモン療法

偽閉経療法

 
【3】対症療法
 
【4】保険対象外の治療として、下記のようなものもあります。

a.子宮動脈塞栓術

b.集束超音波


2.性器脱

子宮が下降し、腟内にあるものを子宮下垂、子宮が腟外まで下降したものを子宮脱といいます。膀胱瘤(膀胱が下降)や直腸瘤(直腸が下降)を伴うこともあります。

1.原因

子宮を支える靱帯や筋肉の萎縮や弛緩によって起こります。分娩時に靱帯や筋肉が損傷されるため、性器脱の多くが経産婦に起こります。

2.症状

初期には外陰に違和感や不快感があります。実際に子宮が腟外に脱出すれば、外陰部の腫瘤感、下垂感、下腹部の牽引感が生じます。脱出した状態が長期になると、子宮腟部と腟壁粘膜の乾燥、びらん、潰瘍が起こります。

3.治療
 
【1】手術療法

a.子宮摘出術

子宮全体を取る方法です。

b.腟壁形成術

腟の壁を縫い縮める方法です。

 
【2】リングペッサリー

高齢者や手術不能例、保存的治療を希望する場合。定期的な通院が必要です。

 
【3】対症療法

漢方薬を内服する療法です。


3.子宮頚部異形成/子宮頚部上皮内癌

異形成とは、癌ではないが細胞や細胞配列が乱れる病変のことですが、その程度によって、軽度異形成、中等度形成、高度異形成に分類されます。高度異形成は子宮頚癌の前癌病変となされています。上皮内癌は癌細胞が表面のみに留まっているものです。

1.症状

自覚症状はあまりありませんが、性交時出血や帯下(おりもの)異常が認められることがあります。

2.検査・診断
 
【1】細胞診

いわゆる子宮癌検診です。子宮頚部を綿棒などで擦って細胞を採取し、顕微鏡で細胞の異常を調べます。

結果はクラスT、U、Va、Vb、W、Xに分類され、Va以上に精密検査(腟拡大鏡検査・組織診)を行います。

a.腟拡大鏡検査(コルポスコピー)

細胞診で異常が出た場合に行います。子宮の入口を拡大して観察します。

b.組織診

腟拡大鏡検査で異常所見が認められた部分を採取し、顕微鏡で検査します。また、子宮頚管内組織を採取することもあります。結果は、悪性所見なし、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成、上皮内癌、微小浸潤癌、浸潤癌などに分類されます。

3.治療

軽度異形成・中等度異形成は経過観察が可能です。

 
【1】子宮頚部円錐切除術

子宮頚部の病変全体を円錐形に切除します。

主に、高度異形成、上皮内癌に行います。中等度異形成に対しても行うことがります。

 
【2】子宮全摘術

子宮全体を取る方法です。

上皮内癌に行うこともあります。


4.子宮頚癌

子宮から発生する癌のうち、頚部にできる癌を総称して子宮頚癌といいます。女性の性器悪性腫瘍では最も高頻度であり、好発年齢は40〜60歳代です。

1.症状

初期にはあまり自覚症状はありません。進行するにしたがって、性交時出血、不正性器出血、帯下(おりもの)異常が出てきます。

2.検査・診断

進行癌では、内診、視診(腟鏡診)、細胞診、腟拡大鏡検査、組織診によって診断します。その他画像検査(MRI検査、CT検査など)などを行います。

3.治療

手術療法を中心に治療しますが、進行期に合わせて、放射線療法や化学療法などを併用します。


5.子宮体癌

子宮から発生する癌のうち、体部にできる癌を総称して子宮体癌といいますが、その大半は子宮内膜からできます。子宮体癌は最近増加傾向で子宮に発生する癌のうち30%を超えています。好発年齢は50歳代です。

1.症状

初期から不正性器出血が見られるのが特徴で、不正性器出血での発見が約90%といわれています。

その他に、帯下(おりもの)の増加、下腹痛がみられることがあります。

2.診断
 
【1】細胞診

子宮内膜から細胞を採取し、顕微鏡で細胞の異常を調べます。

 
【2】組織診

病変の一部を採取し、顕微鏡で調べます。麻酔をかけて採取することもあります。

 
【3】子宮鏡検査(ヒステロスコピー)

腟より子宮内部に内視鏡を入れ、子宮内腟を観察します。病変の有無、部位などを観察します。

 
【4】画像診断

超音波検査、MRI検査、CT検査など。

3.治療

手術療法を中心に治療しますが、進行期に合わせて、放射線療法や化学療法などを併用します。


6.卵巣腫瘍

卵巣に発生する腫瘍を卵巣腫瘍といいます。そのうち液体のみが溜まっているものは卵巣嚢腫ともよばれます。良性、境界悪性、悪性に分類されます。

1.症状

卵巣腫瘍は悪性でも良性でも、大きくなると腹部膨満感を生じますが、小さいものの大半は無症状です。卵巣腫瘍が破裂した場合や、捻転した場合は強い腹痛を生じます。

2.検査・診断
 
【1】内診

a.画像診断(超音波診断、MRI検査、CT検査)

大きさの評価や、良性・悪性の鑑別をします。ただし、良性・悪性の確定診断は通常手術によって得られた摘出物を用いて行います。

3.治療

良性と判断される卵巣腫瘍の場合、経過観察することもできます。

悪性の卵巣腫瘍の場合は、手術療法と化学療法によって治療します。

 
【1】手術療法
a.卵巣腫瘍核出術

卵巣腫瘍部分のみ摘出し、正常部分の卵巣を残します。

b.付属器切除術

卵巣全体を卵管とともに取り除きます。

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